【神戸のメダカ屋・桜めだか】が4年間のミジンコ道に明け暮れた集大成の培養方法を全て公開いたします!
(2021年・夏版)
《用意するもの&ポイント》
- 培養する水槽やケース(できるだけ大きい容器。水深よりも表面積が大きい方を選んでください。水量があればミジンコの数も多くなります。)
- カルキを抜いた水(メダカの飼育水や長期間経った貯め水はオススメしません。すでに他の原生動物が入っています。)
- エアーレーション(酸素が多いほど、容器内のミジンコ密度が大幅に増えます。何もない止水では密度の限界があります。また培養槽が長続きしません。)
- ミジンコの餌(冷蔵保存されていた生クロレラ、クロレラ微粒子パウダー、PSB光合成細菌の3つがオススメです。それ以外の餌は、容器内に入れることにより細菌を発生させ、それをミジンコに食べさせるという間接的なものなので効率が悪く、1~2回の大量発生の後に激減して培養槽が長続きしません。)
【重要なポイント】
一般的な培養方法では、たまに大発生するといったような増減の波が激しい培養や、2~3週間くらいで増えなくなり水槽をリセット(やり直し)するということが通常だと思います。ここでは一般家庭でも可能な設備で、培養槽をリセットをしなくても長続きし、毎日ミジンコを収穫できる方法をご紹介します。
3つの重要ポイントは《餌を入れ過ぎない・酸素供給・水替え》となります。
カプセル1個には多くの乾燥卵が入っています。一般的な60cm水槽(60×30×36cm・65L)以上の容器であれば、カプセル1個をお使いください。 それ以下であれば、画像のようにカプセルを外して2~3回に分けてお使い頂いても、十分な種ミジンコを発生させられます。
このようにサラサラの乾燥卵を水面に落としていきます。大きな容器で培養する場合は、中身を分けずにカプセルごと入れてもOKです。
沈殿することなく水面に浮遊しておりますがご安心ください。また、孵化を確認するまではエアーレーションは必要ありません。エアーによって水面が動く事により、ケース内の壁に付着してしまい孵化に負担がかかります。
孵化を確認できた後、エアーレーションをイラストのようにセットしてください。水面でグシュグシュしている感じです。エアーストーンを沈めた場合は水流が起きてしまうため、手軽にできる手段としてはベストだと思います。ミジンコは、酸素は欲しいけど泳ぐスピード以上の水流はいらないという、非常にワガママな生き物です。酸素をしっかり与えることにより、そのケース内のミジンコの密度を大幅に上げることができます。
水面にミジンコの渦ができている場合、ケース内でのミジンコ密度がMAXに近く、酸素量がギリギリの状態です。大量培養で喜んでいる場合ではありません。長期的に増やしていくには、次に増えるミジンコの為に空席を作ってあげるイメージで間引いてください。翌日激減していたという場合は、この理由からです。
クロレラ工業様にミジンコ培養用にプロデュースしてもらった《クロレラ微粒子パウダー》を、付属のスプーン1杯を水にで溶かすとこのような状態です。付属のスポイトで攪拌して培養槽へ入れていきます。
【クロレラを与える際の重要ポイント】
比較画像をご覧ください。これは生クロレラでもクロレラパウダーでも共通しています。左の投入後のカップの色味から、ミジンコがクロレラを食べつくすと右のカップのような色になります。クロレラ(餌)をやる回数は最低でも1日1回、できれば2回。(ただし1~2日、エサをやらなくても死滅はしません。例えば、明日やれないから今日は多めに!のパターンは、食べきれない量のエサを投入した結果から水質悪化を招きます。クロレラを与える量ですが、次に与える際にクロレラの緑色が抜けているのが目視できるのが、その培養槽への適量です。入れ過ぎは禁物です。たくさん入れても増えるのが早いという訳ではございません。培養がすすみミジンコ密度が高くなると、当然エサとして投入するクロレラの量も多くなります。
ミジンコが餌を食べるようになってから1週間もすれば、黄色っぽい感じに、増殖が活発だと茶色い水になり始めます。このタイミングからは、水を変えなければいけません。
当店では、長らく2~3週間でミジンコだけを取り出してリセットをしていましたが、取り切れない幼生・場合によっては卵も捨てていたのでしょう、増殖の波が一時的に緩やかになりMAX状態まで行くのには時間がかかっていました。
できれば常にMAXの密度をキープして、毎日ミジンコを収穫したい!そのため様々な事を試してみました。
GEX(ジェックス)さんから発売されている『メダカ元気 育成メッシュ』を浮かべて、水替え用のシュポシュポで水を抜けば、幼生のミジンコも通らずに汚れた水や不必要な偶然湧いてしまっている他の原生動物類だけを吸い出せるんです!ホースの先にプランクトンネットを巻き付けて吸い出すのもやってみましたが、結局こちらの方が当店では使い勝手が良かったです。是非、チャレンジしてみてください。
水替えの頻度ですが、本当に増殖がMAXレベルであれば毎日替えるレベルでも良いかもしれませんが、一般的にはそんな時間をかけていられないのが現実だと思います。
ずっとミジンコ増殖をキープしたい方は、せめて1週間に1~2回の水替えを行ってみてください。
ミジンコ培養のポイントをご紹介してきましたが、最後の重要なポイントです!
たくさんのミジンコが水面で浮遊している状態で、赤っぽい渦が出ていたら、今すぐ収穫して間引いてください!その容器内での密度レベルがMAXとなっています。酸素供給が行われている培養槽であれば、底面部分などあらゆる所でひしめき合っています。若干、酸欠気味になってきた個体が水面に表れていると思ってください。もったないと思わずに、たくさんメダカ達に与えてあげてくださいね。
【最後に桜めだかより】
直売所に来て下さる常連様のミジンコ培養レベルは非常に高いです。ご紹介したポイントを確実に押さえて実践されている方は、ミジンコが増えすぎて困っている方までいらっしゃいます。
大切なのはズバリ水と酸素です。鶏糞や菌を含んだパウダー系など、それらを入れることによりミジンコが食べる細菌を発生させて培養するのも1つの方法ですが、水の汚れが最大の難関です。
だからこそ、直接ミジンコのエサとなる《クロレラ》なのです!微粒子のクロレラパウダーは生のクロレラには劣りますが、手軽に使えて保存もできるという点では非常にオススメなアイテムです。
ミジンコ培養においては、「何を与えるか」ではなく、日々の培養槽のエサやりや水替えのメンテナンスで全てが変わります!今回の桜めだか流・ミジンコ培養では、一般家庭でもできる範囲での方法を重視しています。NVボックスのような小型ケースでも大きなコンテナ容器でも、その容器内でのMAXレベルの密度を狙って気軽にストレスや不安のない『新しいミジンコ培養』にチャレンジしてください!ただし、生き物ですので、酸素・水・給餌のポイントだけはしっかり押さえてくださいね🌸
タマミジンコ / Moina Macrocopa について
タマミジンコ科に属する甲殻類で、一般的な英名はレッドモイナやモイナ。集団行動の習性があり、湖や川、一時的な水源に生息。低品質の水にも耐性があり、様々な異なる水質の水、農業や農場からの排水池でも見つかっている。
(平均寿命)7〜10日 (大きさ)アダルト:体長0.4~1.5mm
ベビー(孵化した直後):体長0.27~0.35mm産まれて2~3日後から増殖を始め、1つのメスから平均60の子孫を産みだします。 (最適な水温)25~30度(推奨の水質)1リットルあたりのアンモニアレベル1.5ミリグラム以下PHは6.0から9.0(PH7あたりが最適)。低塩分(1リットルあたり8グラム以下)。化学薬品の使用はNG。